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個人事業主の僕がインボイス対応どうすべきか5日間調べ自分で考えた結論

インボイス

【個人事業主の僕がインボイス対応どうすべきか5日間調べ自分で考えた結論】

まず結論から言ってしまうと、「インボイスに登録は現時点ではしない」という結論になりました。その過程を説明します。

私の悪いくせで、自分に都合の悪いことは、できるだけ考えないで先延ばししてしまうという癖があります。もう何年も前からインボイス導入について話題になっており、インボイス導入で一番影響を受けるだろう免税事業者の個人事業主は、一番先に情報を理解し、どうすべきか検討すべきだと思います。しかし、私の場合、日々の仕事の納期に追われて、インボイス導入については後回しにしていました。正直、1ヶ月前まではインボイスがどのような影響をもたらすのかまったくわかっていませんでした。しかし、9月上旬になり、仕事の忙しさから逃げないよう、改めてインボイス導入にどう対処すべきか結論を出し、対応しなければいけないと感じ、ネットや書籍で調べ始めました。

最初はインボイスに登録しないと簡単に決めていましたが、周りの状況を聞き、やはり登録しなければいけないと思いました。しかし、インボイスを導入すると確実に税金が上がります。僕の年収は400万程度ですが、最終的な猶予期間を過ぎる6年後には、年間で約25万円近くの税金が上がる計算になります。これは厳しいです。そこで、最初に考えたのはやはりインボイス未登録がいいという結論に至りました。お客さんが支払うことになる最初の解決策として、インボイス未登録でそのまま消費税を上乗せして請求を続けるという方法を考えました。

ただ、一つ問題があります。それはインボイスに登録していないということは、つまり免税事業者ということになります。そもそも免税事業者が消費税をそのまま請求してもいいのかという疑問がありました。

仮に問題なくても、後でお客さんが気づいたら、「免税事業者だから消費税を払っていないだろう。その消費税はそのまま返金しろ」と言われるのではないかという問題がありました。1ヶ月や2ヶ月なら問題ないかもしれませんが、3年や4年後だと返金額も大きくなり、リスクも増します。その結果、どうしようかと考え、やはりインボイスに登録しようかと思いました。

まず、なぜインボイスが免税事業者に不利なのか 簡単に説明

僕が色々とインボイスが何故悪いのかネット検索して以下のように頭で理解しました。
ここでは分かりやすく、細かい条件などを一切省略して説明します。インボイスが免税の個人事業主に不利だと言われる理由は、取引先が免税事業者分の消費税の負担をしなければいけないからです。

例えば、僕がデザイナーで、10,000円(税込1万1000円)でチラシの制作をあるB社から引き受けたとします。

僕がインボイスの登録事業者ならば、消費税1,000円分をB社は消費税を納める時に1,000円引いて納めることができます。

しかし、インボイス未登録の免税事業者の場合、1,000円引くことができないので、B社は1,000円分多く消費税を支払うことになり、結果としてB社は損をします。

B社は損をしたくないので、僕にインボイス登録をしてほしいと頼んだり、値引きをしてほしいと頼んだりします。また、インボイス登録をしなければ取引をやめると言う可能性もあります。

少額の場合、インボイス登録の有無に関わらず仕入れ控除が可能

いろいろ調べていくうちにわかったのは、1万円以下の少額請求の場合です。6年間という期間限定ですが、【少額特例】が採用されています。この場合、請求された側は請求書発行業者がインボイス未登録でも、少額であるため仕入れ控除の対象となります。

具体的な例を挙げると、僕の取引先には毎月ホームページの更新で5000円(税込5500円)だけを請求している会社が2社あります。それらの会社は僕が免税事業者であるため、本来なら500円多く納税しなければいけません。しかし、この少額特例の期間である6年間は、500円の控除ができるのです。だから、これらの2社は少なくとも6年間は僕と取引しても損しないのです。結局、これらのお客さんは仕入れ控除でインボイス登録の有無に影響を受けないということです。1万円未満の課税仕入れ(経費等)に関しては、インボイスの保存がなくても帳簿の保存のみで仕入税額控除が可能です!ただし、少額特例が適用される条件がいくつかあるので、その点は確認しておくべきです。

少額特例の条件

対象者:2年前(基準期間)の課税売上が1億円以下、または1年前の上半期(個人は1~6月)の課税売上が5000万円以下の方
対象期間:令和5年10月1日~令和11年9月30日
【少額特例の詳細はこちら】
少額特例のリンク

簡易課税のお客さんには、インボイス未登録の免税事業者であっても迷惑をかけない

色々調べていくうちにわかったことは、僕がインボイス未登録の場合でも、全ての消費税課税事業者に迷惑をかけるわけではないということです。具体的には、消費税の申告方式が一般課税を選択したお客さんには迷惑をかける可能性がありますが、簡易課税を選択しているお客さんには迷惑をかけないのです。

消費税の申告方式には一般課税と簡易課税という二種類があります。簡易課税を選択している場合、「仕入・外注・経費・資産の購入などで支払った消費税」を実際の金額ではなく、業種別に定められた仕入率を用いて計算します。このため、仕入業者がインボイスに登録しているかどうかは関係なく、消費税の仕入控除ができるので、簡易課税事業者はインボイスの影響を受けないと言えます。影響を受けるのは消費税の一般課税事業者です。ただし、簡易課税事業者になれるのは一定の条件を満たした、売上が小さい法人や個人に限られます。

つまり、簡易課税方式のお客さんとの取引の場合、自分が免税業者でも取引先は損することがないのです。簡易課税の会社は仕入先がインボイスに登録しているかどうかに関わらず、関係ないと言えます。

消費税の申告方式
●一般課税
●簡易課税(注※)

適用を受けようとする課税期間の開始の日の前日までに簡易課税制度選択届出書を提出していること
基準期間(2年前)の課税売上高が5,000万円以下であること
簡易課税のみなし仕入率
卸売業 … 90%
小売業 … 80%
製造業など … 70%
加工・飲食・その他 … 60%
サービス業など … 50%

簡易課税では、「仕入・外注・経費・資産の購入などで支払った消費税」を個別に集計する必要がなく、売上×みなし仕入率で一括してみなし計算するので、計算が簡単です。
「売上などで預かった消費税」× みなし仕入率 =「みなし控除税額」
そして、「売上などで預かった消費税」から上記算式で計算した「みなし控除税額」を控除した差額が「納付消費税」となります。

経理面の手間を考えると、多くの場合、売上条件が適用される会社は簡易課税を選択しています。僕の取引先も幸いにして年間5,000万円以下の小さな会社が多く、簡易課税を選択していると想定される会社は約7割です。

そう考えると、一時はインボイス登録しなければと思っていましたが、少額特例措置と簡易課税方式を知ることで、インボイスにすぐ登録しなくても良いと思うようになりました。

自分が無知の状態の時はインボイスを非常に恐ろしいものと捉えていました。税金が増えて気持ちも暗くなっていましたが、一つ一つ理解して知識をつけていくことで、そのような気持ちも少しは軽くなりました。

インボイスは6年間の経過措置が設けられている

前述の少額特例や簡易課税の会社を考えると、僕がインボイス未登録の免税事業者のままでいると、約3社だけが影響を受けると想定されました。しかし、行政はインボイスを急に導入することで、免税事業者と課税事業者の取引に喪失や混乱、反感を引き起こさないよう、2022年12月16日に発表された令和5年度税制改正大綱で、約6年間の経過措置期間を設けました。

この経過措置は、インボイス導入後すぐに課税事業者が免税事業者の消費税額を全額負担することなく、最初の3年間はインボイス未登録の免税事業者との取引でも消費税の80%を控除できるというものです。つまり、消費税の2%だけを負担してもらう形になります。3年目以降6年目までは50%の控除となり、段階的に控除できる額が減少していく仕組みとなっています。この期間は2023年10月から2029年9月30日までとなっています。

=======参考資料======
経過措置期間
期間 控除割合
2023年10月1日から2026年9月30日まで 80%
2026年10月1日から2029年9月30日まで 50%
=========================

経過措置期間中は、免税事業者や適格請求書発行事業者ではない課税事業者からの仕入れについても、仕入税額相当額の一定割合を控除することができます。インボイス制度の経過措置期間は、インボイス制度の導入から6年間となっており、2023年10月1日から2029年9月30日までとなります。このため、僕のお客さんが最初の3年間で負担するのは売上の2%程度の額となります。

正直言って、2%くらいならお客さんに負担してもらっても問題ないと感じました。

しかし、6年後の経過措置期間が終了した時の心配は拭い去れません。6年後にまだ取引が続いているかは分かりませんが、もし続いていたとしても、お客さんが僕が支払うべき消費税額を肩代わりして支払うことになります。

また、もう一つ僕が抱えていた根本的な心配は、免税事業者が消費税を請求すべきかどうかの判断ができなかったこと、そして免税事業者がお客さんから消費税を受け取ることが本来間違いなのか、あるいは違法なのかという疑問でした。

免税事業者が消費税を請求しても良いのか?

この点については、以下のサイトが非常に参考になりました。
参考サイト
消費税は免税事業者でも正当に請求できるものであり、そのスタンスはインボイスの導入が始まろうが否かに関係ない。正当に請求できるものだから問題ないということなのです。決して違法ではありません。この記事では、以下のように述べられています。

消費税法第4条を逆の視点から考えると、免税業者が消費税を請求しないことは消費税法第4条に反する違法行為となります。すなわち、免税事業者が消費税を請求しないのは違法なのです。消費税法という税法はきちんとした法律ですので、消費税法に反する行為は違法行為とも言えるのではないでしょうか。中略

インボイス制度が導入されても、これら消費税法第4条、第9条が変わるわけでもありませんので、インボイス制度導入後も、免税事業者は消費税を請求しなければなりません。請求しないと違法となります。(ただし、消費税を請求しないからと言って罰則規定を適用されることはありません)

大変有益な情報でした。消費税は消費税法という法律に基づいているものであり、免税事業者であろうと課税事業者であろうと請求しなければならないものだったのですね。

だから後々、お客さんから「お前は免税事業者だから消費税は返金しろ」と言われても、返金する必要はありません。法的根拠がありますし、日本の商慣習から見ても、請求書や見積りに消費税の記載は必要です。

★ 僕が最終的に採る対応について

ただ、そうは言っても、このまま何事もなかったように請求書を今まで通り発行するのは少しフェアではありません。だから、自分はインボイスに登録しない旨を最初に通知し、請求書にもその旨を通知しようと思います。もし値引きを求められたら、経過措置に応じて個別に値引き対応を行うことにしました。

お客さんが後から気づいて「インボイス登録していないなら消費税を返金しろ」と言われた場合でも、僕はインボイス導入前から通知しており、免税事業者であるからといって消費税を請求するのは法的に問題ないこと、そして商慣習的に消費税の項目が必要であることを説明し、見積もりの段階から自分が免税事業者で消費税込みでの利益を考えて提示していたと主張するつもりです。

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